あるんだったらとっとと出せよ。とファンを怒らせたらしい結成時のメンバーによるライブを収録した２枚組。外国では４枚組のボックスセットとして発売された。日本では音質が優れないという理由で残り２枚は「続・エピタフ」として後から発売された。俺は「エピタフ」で十分堪能したので、「続」はまだ買っていない。

　[1]〜[4]は当時大放出された一連のＢＢＣセッション音源。何世代か経たテープの音、放送されたラジオを録音した音も含まれ、音質はまちまち。

　この２枚で突出して素晴らしい演奏が[5]〜[7]。「ポセイドン」に収録されていた「冷たい街の情景」の原型の[5]、グレッグの最高の熱唱[6]、アルバムバージョンに比べより速くより激しくより興奮する[7]を聴けるだけでこれを入手した甲斐があったというものだ。

　上手につなげられた[8]も[11]負けず劣らない好演奏で大満足間違いなし！！

　２枚目はフリップ自身「バンドのプレイの中でもかなり酷いものだが、最後の演奏として少なくても歴史的価値がある」と吐露しているように、１枚目に比べると見劣りしてしまう（マイケルのドラムは相変わらず一生懸命だが周りがね）。クリムゾン歴も浅く、それほど熱狂的な信奉者でもないので、あまり「歴史的価値」には拘らないので。

　「宮殿」は歴史的名盤扱いらしく、どこの店にも置いてあるし（貧弱なツタヤ大井町店でさえ！）「ロック名鑑」的本や雑誌の記事ではうんざりするほど紹介されているため、聞いたことがある人も想像以上に多そうだが、この時代のクリムゾンはこの「エピタフ」と対になって初めて完結すると思う。「宮殿」からはあまり想像できないライブ演奏のすさまじさをたっぷり堪能できる必携盤。

　個人的評価は☆☆☆☆（４つ星）。「進化の原点は、かくも激しく、美しかった・・・」の言葉通り。