「伝説の名演」として長い間膨大な量の海賊版が出回っていた'73年11月23日のアムステルバム・コンセルトヘボウ公演の公式版。

　まさに絶好調な時期（早くもクロスは「疲れていた」と吐露しているが）の演奏なので浅倉大介曰くテンションはかなり高い。このライブ音源は「Starless And Bible Black」の46'49の内、26'50に（若干オーヴァーダブして）使用された。それだけ本人達も納得のいく演奏だったのだろう。もっとも、フリップの選曲はしばしば謎に満ちているが（「Red」の「Providence」や「Cirkus」の「A man, a city」など）。

　将来「Starless And Bible Black」に収録した楽曲（「Lament」「Fracture」「The Night Watch」）は、まだまだ熟練していないためか心なし演奏が堅く「The Great Deceiver Live」に収められた'74年の演奏に比べるとその差が楽しめる。やる気満々だけどまだ慣れていないという。

　一方、大分慣れたであろう「Easy Money」「Book Of Saturday」「The Talking Drum」「21st Century Schizoid Man」や純粋なインプロ「Starless And Bible Black」「Trio」「The Fright Watch」は抜群に良い。必聴。「Lament」「Larks' Tongues In Aspic (Part II)」は今一かな。特に「〜Part II」は「Absent Lovers」や「Cirkus」の恐るべき演奏に比べてしまうと見劣りしてしまう。